三重県亀山市野良猫捕獲問題に関する申入れ及び照会

亀山市みどり町の野良猫捕獲問題を受けてTHEペット法塾
関係機関に対し、申入れ書を出されました。
以下、全文です。

     「三重県亀山市野良猫捕獲問題に関する申入れ及び照会」

環境省自然環境局総務課動物愛護管理室 御中
三重県健康福祉部薬務食品室 御中
鈴鹿保健福祉事務所 御中
亀山市健康福祉部健康推進室 御中

                         2012年(平成24年)1月16日 
 
                      〒530-0047           
                      大阪市北区西天満6丁目7番4号   
                      大阪弁護士ビル4階 植田法律事務所内
                      THEペット法塾      
                      代 表 ・弁護士 植 田 勝 博 
                      事務局長・弁護士 細 川 敦 史  
                
第1 はじめに      
2011年10月、三重県亀山市みどり町の連合自治会が、同市と相談の上、「野良猫を捕獲器で捕獲し保健所に収容する」とした計画、すなわち、野良猫を捕獲して駆除する計画が進められていたことが判明しました。
当該計画について、亀山市は、全国から殺到した抗議を受けてこれを見直したようですが、今回の関与は、駆除・殺処分を目的とする野良猫の捕獲を容認し、これに協力するものであり、「動物の命」と「人と動物の共生」を旨とする動物愛護法2条の基本原則に明らかに反し、「何人も動物をみだりに殺してはならない」とする同法2条及び44条1項に反します。また、動物愛護法35条の引取りについて誤った解釈をしているものです。
よって、当塾は、関係機関の改善を求めて、次のとおり申し入れるとともに、動物愛護法35条に関する照会をいたします。なお、ご回答内容につきましては、「動物法ニュース」(発行責任者 植田勝博)に掲載させていただきますので、予めご承知おき下さい。

第2 申し入れの趣旨
1 環境省は、犬猫の引取り義務を定めた動物愛護法35条2項における「拾得者及びその他の者」には「野良猫を捕獲した者」を含まないこと、および、特段の事情(狂犬病の蔓延防止等)がない限り、駆除目的で捕獲され持ち込まれた犬猫の引取りはできないことを都道府県等の行政に周知すること。
2 環境省は、改正遺失物法案に対する衆議院及び参議院附帯決議の内容(動物の愛護及び管理に関する法律の規定に基づく所有者が判明しない犬又はねこの取扱いを見直し、安易に殺処分されることのないよう、都道府県等に対し、犬又はねこの取扱いの具体的な方法、要件等について統一的な基準を示すなど、動物愛護の観点から必要な措置を講ずること)を具体的に実現すること。
その一内容として、法35条の引取り義務を撤廃し、「やむを得ない場合を除いて引き取ってはならない」「やむを得ない場合を除いて殺処分をしてはならない」等について都道府県等の行政に周知し、あわせてその趣旨の法改正をすること。また、自治体には野良猫を保護する義務がある旨の一般規定を新設すること。
3 三重県及び鈴鹿保健所は、動物愛護法の趣旨ないし2条の基本原則に従って、法35条を正しく解釈・運用し、野良猫の捕獲者はもちろん、所有者または拾得者から犬猫の安易な引取りをしないこと。
4 三重県及び亀山市は、野良猫問題の解決のために、野良猫を捕獲して殺処分させる方法は採りえないことを認識し、地域住民、動物ボランティアと行政が三位一体となって野良猫問題の解決に取り組むこと。 
をそれぞれ申し入れる。

第3 照会事項
1 (環境省、三重県、鈴鹿保健所及び亀山市に対し)動物愛護法35条2項に定める「その他の者」は、一般的に、または、具体的にどのような者を意味するのか。また、駆除目的で野良猫を捕獲した者を「所有者」「拾得者」「その他の者」に含むと解釈しているか。
 2 (環境省に対し)法35条に定める引取り義務と「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」(平成18年1月20日環境省告示第26号)第1「緊急避難として位置付けられたものであり、今後の終生飼養、みだりな繁殖の防止等の所有者又は占有者の責任の徹底につれて減少していくべきものであるとの観点に立って、引取りを行うように努めること」に矛盾・抵触はないか。すなわち、この告示は法35条の引取り義務を緩和・修正する趣旨ではなく、同条の主体から引取り要求があれば、それがいかなる者(例えば、売れ残り犬猫を持ち込んだ販売業者やいわゆるリピーター)であっても行政は引取りを拒絶できないのか。

第4 申し入れ等の理由
1 動物愛護法における野良猫の位置づけ
  動物愛護法2条の基本原則は「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないように」しなければならない、と定めているところ、野良猫も同条の「動物」に含まれることは言うまでもありません。
また、猫は「愛護動物」(法44条4号)であり、所有者の有無にかかわらず、つまり、所有者がいない野良猫であっても、みだりな殺傷は刑罰をもって禁じられています。 
 
2 法35条の解釈について
(1)行政が野良猫を引き取る根拠法令は存在しません。
(2)法35条2項は、拾得者以外に「その他の者」からの引取り要求があった場合の引取り義務を定めています。
しかしながら、「その他の者」を無限定に拡大解釈することは、前記動物愛護法の基本原則に反するものであり、許されません。
また、持ち込み者を限定しないのであれば、条文には「何人も」との文言が用いられているはずであり、あえて「拾得者」(民法、遺失物法と同じ文言)を例示し、それに続いて「その他の者」との包括的文言が用いられていることからすれば、拾得者に準じる者(警察の会計課等)や、緊急に引取りを要する場合に限定的に解釈するのが自然であり、動物愛護法の趣旨に沿う合理的な解釈といえます。
(3)なお、「拾得者」は「物件の拾得をした者」(遺失物法2条3項)をいうところ、物件の一内容として「逸走の家畜」が定められており、ここに逸走して他人の占有を離れた犬猫が含まれます。しかし「遺失物法等の解釈運用基準について」(平成19年8月10日警察庁丙地発第22号)の第2-1(4)は、野良猫は「逸走した家畜」に該当しないことを明記していることから、「拾得者」には、野良猫を捕獲した者は含まれません。
(4)よって、野良猫を捕獲した者は、法35条1項及び2項で引取りを求めることができる主体ではなく、同条の適用場面ではありません。
したがって、亀山市が推進した野良猫の捕獲及び引取り計画は、三重県が法律上の根拠に基づかない引取りを行うことを前提としたもので、違法なものというべきです。

3 野良猫による迷惑問題の解決方法について
  一般的に、野良猫排除に向けた動きは、地域住民による苦情をきっかけにして進められます。しかしながら、仮に、地域住民から迷惑をかけられたとの申し出があったとしても、そのような事実の有無にかかわらず、「人と動物の共生」を謳うのであれば、人は、動物による一定の迷惑を受けることがあったとしてもこれを甘受すべきです。
法5条1項の授権に基づく法的拘束力のある告示「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」(平成18年10月31日環境省告示第140号。以下、「基本指針」といいます)には、「動物による危害及び迷惑問題は、所有者等とその近隣住民等との間で感情的対立を誘発しやすいなどの性格を有していることもあるため、行政主導による合意形成を踏まえたルール作り又はルール作りに対する支援等が期待されている」との文言があります。ここでいう所有者「等」には、野良猫を支援するボランティアも含まれると考えられることから、野良猫による迷惑問題については、行政主導による支援をもって解決することがふさわしく、少なくとも、駆除が許されるとの趣旨は一切記載されていません。
また、基本指針には「地域における環境の特性の相違を踏まえながら、・・・所有者のいないねこの適正管理の在り方等を検討し、動物の愛護と管理の両立を目指すことのできるガイドラインを作成すること」との文言があります。ここにおいては明確に野良猫の適正管理について明記されていますが、動物の愛護と管理の両立を目指す観点と、駆除という概念が相いれないことは言うまでもありません。
以上のことから、迷惑防止、つまり、人の快適な生活のために、野良猫を排除しゴミのように殺処分することが正当化されることは考えられません。
野良猫駆除の一連の流れにおける捕獲者や行政の行為は、動物愛護法の基本原則に照らして許されるものではなく、また、法44条1号のみだりに殺す罪に該当する可能性もあります。

4 引取り制限と殺処分禁止の施策の必要性
 環境省は、基本指針において「都道府県、指定都市及び中核市における犬及びねこの引取り数を半減する」「殺処分率の減少」を明記しています。
しかるに、行政が駆除目的で捕獲された野良猫を含め、安易に犬猫の引取りを続けることは、動物を殺処分により殺すこと(動物愛護法に違反する犯罪行為)であり、基本指針に具体化された国の方針に逆行することは明らかです。「動物の命」「人と動物の共生」の原則に基づいて、引取りの制限をし、また、殺処分は原則として禁止する施策を進める必要があります。
 近年、犬猫全体の引取り数は減少しているものの、これは、犬の数が減少していることによるもので、猫については目立った減少は見られません。よって、猫の引取り数を減らすための方策を実施すべきであり、駆除目的の野良猫を引き取っていては、引取り数は減ることはありません。
 以  上


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